熊野磨崖仏は大分県豊後高田市田染平野にある平安時代後期から鎌倉時代にかけて造られた巨大な磨崖仏です。
高さ約7mの大日如来像と約8mの不動明王二童子像からなり、国内最大級の規模を誇ります。
急峻な石段の先に現れる荘厳な姿は圧巻で、1964年に国の重要文化財、1955年に史跡に指定されています。
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「熊野磨崖仏」情報
施設名 | 熊野磨崖仏 |
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住所 | 大分県豊後高田市田染平野2546-3 |
電話 | 0978-26-2070 |
開館時間 | 夏季(4月-10月)8時-17時・冬季(11月-3月)8時-16時30分 |
休館日 | 年中無休 |
駐車場 | 無料:小型10台 |
全長・長さ・高さ | 大日如来像:高さ約7m・不動明王二童子像:高さ約8m |
料金・入場料 | 一般・高校生300円/小・中学生150円 |
熊野磨崖仏は大分県豊後高田市田染平野で参拝できる平安時代後期から鎌倉時代にかけて作られたといわれている大きな磨崖仏です。高さ約7mの大日如来像のほか、約8mの不動明王二童子像から構成され、いずれも国内最大級です。急峻な石段の先に現れる荘厳な姿は圧巻で、国の重要文化財及び史跡に指定されています。山深い自然と一体となった神秘的な雰囲気が訪れる人を魅了します。
熊野磨崖仏への道のりは、豊後高田市田染平野にある今熊野山胎蔵寺を起点としています。境内から急な山道を進み、鬼が一夜で積み上げたという伝説が残る石段を300メートルほど登ると、岩壁に彫られた2体の巨大な磨崖仏が姿を現します。
左側には高さ約8メートルの不動明王二童子像が鎮座しているのが特徴です。鎌倉時代の作と推定されるこの磨崖仏は、安山岩質の硬い岩壁に彫られており、明王像でありながら口元に柔和な表情を見せています。かつては左右に矜羯羅童子と制多迦童子の姿も彫られていたとされています。
右側には高さ約6.7メートルの大日如来像(如来形像)が彫り出されています。高さ約8メートルの龕(がん)と呼ばれるくぼみの中に安置され、螺髪などの特徴から不動明王像よりも古い時代の作と考えられています。頭部上方には三面の種子曼荼羅が刻まれており、これは鎌倉時代の追刻とされています。
熊野磨崖仏の由来については、伝説によれば養老2年(718年)に仁聞菩薩が造立したと伝えられていますが、実際には11世紀頃(平安時代後期)から12世紀頃(鎌倉時代前期)にかけて制作されたと考えられています。磨崖仏の裏手には「御所帯場」と呼ばれる仏師が籠もったとされる洞窟が残されており、当時の制作の様子を想像させます。
この地は古くから六郷満山寺院の一つとして重要な位置を占め、約10年に一度行われる峰入りの荒行は、不動明王の前を出発点として行われます。護摩を焚いて始まるこの修行は、150kmにわたる山中を約10日間かけて歩く厳しいものです。
石段を登りきると熊野神社があり、磨崖仏と共に信仰の場となっています。また近年では「国東半島峯道ロングトレイル」のコースの一つとして整備され、トレッキングを楽しむ人々にも親しまれています。
厳かな雰囲気と圧倒的な存在感を放つ熊野磨崖仏は、平安・鎌倉時代の優れた石工技術を今に伝える貴重な文化遺産です。